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途上国の女性の社会進出を支える。エシカルジュエリーに込めた想い【EARTHRISE(アースライズ) 小幡星子さん】

INTERVIEW

つくる人もつける人も幸せになれるエシカルジュエリー

 

パキスタンなどの途上国を中心に世界10カ国以上から宝石・貴金属を集め、人や環境に優しいエシカルジュエリーの制作や販売を行う「EARTHRISE」。
 

自然で上品なジュエリーは、現地の職人によって研磨され、途上国の方の自立・発展する仕組みづくりにも取り組まれています。
 

そんな「EARTHRISE」の代表兼ジュエリーデザイナーをされている小幡星子さんの設立の背景や女性のキャリアなどについて、オンラインでインタビューをさせていただきました。
 

社会貢献をしたいと思ったきっかけはなんですか?

 

一番最初に社会貢献について興味を持ったきっかけは、5歳でお年玉の半分を途上国に寄付したことでした。
寄付することは母から提案されたのですが、そこから満足に生活できない子供たちの存在を知って、将来も人の役に立つことを仕事にしたいと考えていました。
 

また、小学生の時に国際政治学者である緒方貞子さんが国連で活躍されているニュースがよく流れていて、その時に危ない地域にも防弾チョッキ一枚で出かけていく姿を見て、彼女のような大人になりたいと思っていました。
 

そこからなぜジュエリーに興味を持ったのでしょうか?

 

 

中学生の時に母から祖母の形見の指輪をもらったのですが、正直当時はそれをもらっても嬉しくなかったんです(笑)。
その指輪は傷だらけで、変形していて、どこをどう見てもつけたいと思うレベルではなくて。
 

私の祖母は早くに亡くなっているので写真一枚でしか祖母のことを知りませんでした。
しかし、「この指輪は祖母が死ぬまでつけていたものなんだよ」と母から聞かされてから、「傷も使われていたからこそついたのだろう」とか、「変形も祖母の指の形に馴染んで変形していたんだな」と考えるようになり、ジュエリーの奥深さに惹かれました。
そこからジュエリーデザイナーになりたいと思うようになりましたね。
 

その後はどういったキャリアを積まれたのですか?

 

中学で進路を考える際に、親から「ジュエリーデザイナーで生計が成り立つ人はごくわずかなんだからもっと堅実に生きなさい」と言われ、ジュエリーデザイナーの道は一度断念したんです。
 

元々途上国支援などには興味があったことから、大学は国際関係を学べる場所に行きました。
大学時代に国際交流のボランティアをして仲良くなったフィリピンの友人がいて、その友人に「自分は将来途上国支援とかしたいんだよね」という話をしたことがありました。
すると友人から「なぜ先進国の人はそうやって、ものやお金をくれるの?自分たちはそんなもの欲しくないのに」とすごい剣幕で怒られて。
 

それがきっかけで途上国の方とどう関わるべきか自分でもう一度考えて、「一緒にビジネスをやってハッピーになれるようなやり方をしたい。」と思いました。
 

しかし、当時その方法はわからず、そこでは起業を決めきれなかったんです。
だから、一旦は不動産の会社に入社し、そこで自分で起業してやっていけることを探しつつ、資金作りをしたり、さまざまな人の話を聞きに行ったりして、勉強する毎日を過ごしていました。
 

起業しようと思ったきっかけはなんですか?

 

 

興味のあるものを片っ端から学んだのですが、「生涯何がなんでもやりたい!」というものに出会えなかったんです。
 

そこで、改めて自己分析した時に、そういえば中学生の時にジュエリーデザイナーになりたいと言っていたなと思い出して。
 

その頃、レオナルド・ディカプリオさんの『ブラッドダイヤモンド』という映画も上映されて、そこから途上国のことについて色々調べていると、宝石や貴金属の出どころはほとんどが途上国で、そこでは劣悪な環境が続いていることを知って。
 

その時に「なんだ、私はこれがしたかったんだ」と思い、今までジュエリーを通じて途上国に関わりたい自分に蓋をしていたことに気づいたんです。
そこからジュエリーの業界に転職をして、起業に踏み切ったという流れです。
 

その行動力はどこから湧いてくるのですか?

 

一つは、「やると決めたらやる」という性格がそうさせていると思います。
 

もちろんたくさん失敗したり、壁にぶつかったりしますが、現場に行かないとわからないことも多いですし、すぐに行動することって大事だなと感じています。
 

あとは、純粋に鉱物が子供の頃から好きだからということがありますね。
鉱山は過酷なところが多いのですが、やっぱり好き・楽しいという気持ちが原動力になっていると思います。
 

ご自身で大切にしていることはありますか?

 

 

やはり、関わる人を大切にすることですね。
 

何事も一人でできるわけではないですし、いろんな方の協力もあるので。
今日同席している広報の田代にも本当に感謝しています。
 

ありきたりかもしれないですが、一人一人を大切にし、感謝の心を忘れないということは、常にプライベートでも仕事でも意識していますね。
 

エシカルジュエリーを通じて、社会にどんなことを伝えていきたいと考えていますか?

 

 

もちろん途上国の悲惨な部分も伝えつつ、その中でもお客様にいいものを届けていく。
そうすることで、お客様が途上国の方たちの頑張りや生産者の物語を知り、「誰かの幸せに直接貢献できるんだ」という喜びを感じていただけるのではないかと思っています。
 

また、ジュエリーは親から子へと受け継がれるもので、想いを紡いでいけるものだということも同時に伝えていきたいですね。
 

女性のキャリアについて期待することや、ご自身が影響を与えたいと考えていることはありますか?

 

女性は年齢とともにライフスタイルが変わってくるので難しいと思うのですが、多様な選択肢の中で自分に合うものを見つけられるように、若いうちから考えていけると良いですね。
 

コロナの影響で女性の自殺者が増えたというニュースもありますが、どうしても社会的に女性は弱い立場になりやすいのかなと思っています。
なので、女性自身でも情報収集するなど自立してやっていくことも大事ですし、同時にしっかりと女性が働きたいと思える仕組みを社会全体でつくっていくことがとても重要だと思います。
 

実はジュエリー業界は男性社会で、女性が入っていくことってなかなか難しいんです。
なので、弊社も女性が働きたい職場を提供する会社でありたいですし、どんどんこれから女性が働きやすい社会になっていけば良いなと考えています。
 

エシカルをビジネスでやっていく難しさ、苦労したことはなんですか?

 

最初大変だったのはお金の部分ですね。
ジュエリーの素材は簡単に手に入るものではないですし、元の値段が高かったので資金調達が大変でした。
資金がない中でどうやっていくか、工夫しながらやっていましたね。
 

現地に入ると、治安の問題などもそうですが、技術を教えることが難しかったですね。
パキスタンの工房で、ジュエリーの元となる石を0.01ミリまで磨き上げなければいけないのですが、「星子さんは細かすぎるよ」と言われることもあり、現地の従業員とのすり合わせが大変でした。
ですが、日本の製品はパキスタンなど途上国でもとても人気で、その良さをわかってもらっているからこそ、「日本の製品は細かいからここまで良いものができるし、石もそうなんだよ」と伝えて、モチベーションをあげるなど工夫をしています。
 

今後のビジョンについてはどうお考えですか?

 

 

途上国でも国内でも女性が働きやすい環境をつくりたいですね。
 

一部の途上国については、女性が外に出て働ける環境ではないので、女性が安心して働けるような環境をつくること。
特に小さい子供を抱えるママさんが多いので、保育園のような設備を整えたいです。
 

国内に関しては、働きたいと思う方と、「どうしたら良い働き方ができるのか」について、柔軟性を持って会社を動かしていきたいですね。
 

また、そもそもジュエリー職人は絶滅危惧種と呼ばれるほど人手不足なんです。
職人になるためには、たくさんの手間隙をかける必要があるのにもかかわらず、工賃が30年前と変わっていないので、お金の面で苦労してやめてしまう人が多くて。
なので、弊社でジュエリー職人として生きていける人も育てていきたいです。
 

そして、エシカルジュエリーを通じて消費者の意識も変えたいと思っています。
安さを追求するとどこかで歪みが出てしまうので、生産者もちゃんとお金が得られ、その製品に対してしっかり対価を払うという意識に変わっていってほしいと思っています。
 

インタビューを通して

 
好きなことをして、社会に貢献しながら生きてきた小幡さんのお話を伺い、その真っ直ぐな考え方に心を動かされました。

また、インタビュー中の言葉からも周りを大切にする小幡さんの人柄がとても伝わってきました。
だからこそ、周囲の方が応援したくなるのではないかと思いますし、広報の田代さんをはじめ、その夢を支えたいと思っている社員の方を大切にしているからこそ、こうして小幡さんがエシカルジュエリーを通じて社会に影響を与えられているのだと感じました。
 

今後のご活躍も期待しております!
 
EARTHRISE Official HP:https://earthrise-j.com/
EARTHRISE Official Instagram:https://www.instagram.com/p/BeQCZknAk9E/

 
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ライター:慶應義塾大学 矢野りさ
 

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